社会保険の問題が取りざたされています。
確かに、ちゃんと保険料を納めたのに、受給できないとしたら大変な問題です。
国家的詐欺といってもいいぐらいでしょう。
刑法第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
一方、納めてない人も、自分は支払ったと主張することで支給されてしまったら、きちんと納めた人が馬鹿を見ます(もちろん、故意にそう主張する人もいるでしょうが、忘れていてそう主張する人もいるでしょう)。
つまり、完全確実に過去のことを振り返れない現状では
1)納めたのに受給できない
2)納めてないのに受給される
のどちらかの間違いを完全に排除することはできません。
統計学では、これは第1種の過誤、第2種の過誤と呼んでいます。
確かに、1)は大きな問題ですが、2)はどうなのでしょう。
結局、保険財源や税金から支払われることになるので、目に見えて被害を受ける人はいませんが、(きちんと支払った人全員(または国民)が薄く被害を受けるわけです。
1)に該当する人は、大声で不満を主張するでしょうし、マスコミも取り上げやすいので、政治家もそういう人たちを少なくするように動きがちだと思います。
しかし、2)の問題のコストはどうなるのでしょうか?大声を出す人がいなければそれでよいのでしょうか?
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調査のための費用、納めてない人に支払う費用、これらは、この失策のコストです。そもそも、データの入力のチェックをしなかったというのがすごいことです。入力している末端の人が誰一人このやり方では問題が発生すると気づかないなどということはあり得ません。
そもそも、なぜあなたの年金はいくら納入されていて、65歳からなら月々いくら支給されますよ、という案内がせめて1年に1回来ないのでしょう?「30年間払い続けて、申請したら月々何万円か支払います」というような保険商品を保険会社がつくったら、政府は認可するのでしょうか?
刑法に「未必の故意」という概念があります。そういうことが起こっても仕方ない、と思って何もしないでいるのは「故意」と解釈するということです(理解が違っていたら教えてください)。もし、故意と言えないにしても、重過失であることは間違いありません。業務として何かをする場合、重過失は非常に責任が重いのです。
企業の場合で考えてみます。企業の場合、取締役が業務を遂行するにあたって意識するものの一つに、株主代表訴訟があります。不適切な意思決定を行ったり、必要なことを行わないなど取締役の責任を果たさず会社に損害絵を与えて、株主代表訴訟に敗れると、企業(間接的には株主)に与えた損害を、自ら弁済しないとならないのです(あまりに高額な損害を賠償するのは酷だということで上限金額が設定されましたが)。
社会保険庁長官だか、事務次官だかのOBで、マスコミが退職金批判に対して、「民間社長の退職金を見ろ、もっとずっともらっている」と言っていた人がいました。
株主代表訴訟ならぬ、「国民代表訴訟制度」を創設して、官僚にも損失の個人的な補てんを求めるというのはどうでしょうか。国政の結果は数年では出ないことが多いので、時効期間はせめて50年ぐらいにして、相続された場合も、相続財産を限度に補てんする制度にしていただきたいと思います。
そのリスクがあることが行政官の意識向上に役立つのではないでしょうか。
もちろん、多くの行政官が高い志をもって、一生懸命仕事をしていると思います。
そういった方々にとっては、こういう制度はできてもできなくても一緒ですから、問題はないはずです。
残念ながら、国民(企業でいえば顧客であり株主でもある存在)に対して、申し開きできないことをなさる一部の官僚の意識改革にはとても役立つ制度だと思えます。
それが実現した暁には、ぜひ次は、国会議員や地方公共団体の役職者もその対象に含めていただきたいものです。