医療費削減?

2007年8月18日

高齢化に伴って医療費が増大しているのが問題らしい。医療費の話はとてもナイーブな話だ。

お役所の論理は<本当のところはよくわからないけど>、現行のルールだと、医療費が増大して健康保険が破綻するから、制度を守るためには、保険料を増やすか医療費の総額を減らしたいが、保険料を増やすのは社会情勢からみて難しそうだから、医療費の総額を減らしたい、ということではないだろうか。

<だれもが最高の医療を受けられる世の中>それが理想だろうか?

費用のことを考えなければ理想だろう。
しかし、100%自費診療ならそんなことはありえない。
それが可能だとしたら、実際に医療を受けた時の支払いが生活を脅かさない範囲に削減される必要がある。つまり、公費負担か健康保険かが、なければ実現しない。

でもそのことで、保険料が所得の50%になったらどうだろう(所得の50%は個人に課される所得税と住民税を合計した最高税率)。確かにみんながそのぐらい払えば、相当の医療ができるだろう。そういう世の中が住みよく誇りを持てる社会だろうか?

医療費の公費負担は「常に」所得の再分配を行うことになる。つまり払ったほどの医療を受けない人と、払った以上の医療を受ける人が出てきて、通常、富裕層は前者になり、低所得者層は後者になる。あまり、税金などを高くすると、富裕層は「こんな税金の高い国に住めるか!」と捨て台詞をはいて税金の低い国に移ってしまい、結局貧乏人ばかりが国に残ってしまい却って税収が減るから、税率の国際競争上あまり税率を高くすることはできない<と言われている>。

はたまた、アメリカのように、「健康保険は入りたい人だけどうぞ(それも米国の誇る選択の自由の精神です!)」。というのがいいのだろうか?
米国のような制度の矛盾は、本当に保険が必要な人は、保険に入れず(所得が低いから目先の必要がない保険に回すよりも今日の食べ物に回ってしまう)、保険料をたっぷり払える資力のある人はそもそも保険に入るメリットがない(保険料>支払いを受ける金額の期待値、であるから保険会社が成り立つわけであるから、自費で医療費を払える人は保険料を払うよりも自費で払ったほうが統計的には有利である)ことだろう。ビル・ゲーツには1等賞金3億円の宝くじを買うメリットもなければ、自動車保険に入るメリットもないということだ。

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そもそも、よい医療・高度な医療は受けたい。でも、お金を出すのは嫌、というのが多くの人の本音だろう。これがユーザー側の矛盾。だから、打ち出の小槌<健康保険>でどうにかしてほしい。

しかし何でもかんでも健康保険でカバーして、みんなが健康保険で高度な医療を受ければ、医療費の総額は増大する。たとえば紫外線による皮膚の経年劣化(しみ、そばかす等)を改善するフォトフェイシャルという治療があるが、これを保険で支払えば、多くの人が利用するだろう。しかしこれは妥当だろうか。

結局、その増大した医療費総額のつけをだれが払うのか、という問題になる。国民全体で見れば、ただの医療があるわけではないので、どういうルールにするにしろ、いつか誰かが払わねばならない。そうすると、「打ち出の小槌」が思ったよりも重くて、持ちにくいものになってしまう。

どうしてもこういう話は「制度」の問題として考えがちだが、本質的には論点は以下の2点だろうと思う。


  • どの程度の医療がミニマムスタンダードとして提供されるべきか

  • その費用を社会の構成員がどう分担するか

なかなか人は、自分のことと、自分には関係ないことを同じようには考えることができない。
自分や家族に「腎移植が必要」という人と、家族は検診と出産の時以外、ほとんど病院に行ったこともない、という人は同じようには考えにくい。年収10億円独身の人と、年収300万円子どもは幼稚園児2人(病気がち)の人は同じようには考えにくい。

どのような制度にしても、立場によって不満が生じるだろうし、いろいろな問題は起こるだろう。しかし医療は生命に、そして何年生きられるかに直結する事柄であるだけに、最低限の納得性が不可欠だ。

多くの日本人はこういうとき、お上に「納得できる制度」を作ってほしいと望むように思う。でも、納得と「魔法」は違う。自分が受け身の状態で「納得できる制度」というのは、実はほとんどの場合「魔法のように問題が解決する制度」である。そんなものは長期的にはありえない。

大人の個人としてまずできることは、自分や家族の健康のために、自分はどの程度のコストをかけてもいいと思うのか、個人的な数字として考えることがスタートラインではないかと思う。

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2007年8月18日 17:15に投稿されたエントリーのページです。

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